トコちゃんねる静岡

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静岡歴史探訪「清水の古道「志ミづ道」編」

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第5回 志ミづ道/御浜御殿跡より
第4回 志ミづ道/専念寺より
第3回 志ミづ道/辻の札高札場跡より
第2回 志ミづ道/二本塚厄除地蔵尊より
第1回 志ミづ道/追分より


第一回 志ミづ道/追分 取材裏話


tantei 私達にとってとても身近でありながら、意外に知られていない歴史を紹介する番組としてトコちゃんねる静岡が、今年の4月から放送を開始した「静岡歴史探訪」この番組を作るにあたって多くの方のご協力を頂いております。その中でも、この番組の頭脳として大変お世話になっているのが出演者の杉山満先生です。杉山先生のご協力無しにこの番組は成り立ちません。杉山先生に教わりながら手探りで始まった新番組ですが、歴史を紹介すると言う事は、とてつもなく大変である事に気付きました。

bunken まず最も気をつけなければならない事は歴史の裏付けをし、間違った情報を決して与えないと言う事です。「何を当たり前の事を」と、お考えの方も多いと思いますが、全国的にも有名な歴史と異なり、小さな町の小さな歴史はそれ自体を伝承するものが少なく、言い伝えにより後世に残されたものがほとんどです。その中から真実を導き出さなければいけないのですが、そこでその判断を下してくださるのが杉山先生なのです。

杉山先生が記憶する膨大な情報を整理し、文献と照らし合わせます。また、その土地で暮らす方の意見なども参考にした上で、番組で流す事のできる内容を絞っていきます。その為には幾度となく打合せを重ねる事と、実際にその土地に行く事が必須条件となってきます。

今回、道標と追分羊かん本舗を取材したのですが、その中で出てきた羊かんの地産地消についても、かなり長い時間の調査が必要となりました。文献が残されていた為、それを元に裏付け作業を開始、追分羊かんの当主である府川さんに話を伺いながらも当時の状況を分析し、シミュレーションします。

satou その結果から導き出されたものが、竹皮は大内産、小豆は両河内産、砂糖は三保産と言う答えでした。その答えがより確かなものであると言う確証を求め、各地を取材して回りました。番組ではサラッと紹介してしまった為、実際に地元の方の声は出てきませんがこれも歴史番組を作る上で大切な作業となります。その際、1件1件、ドアをノックしお話を伺ったのですが、意外な事実に直面しました。

私が調べている案件は昔過ぎていた為「知らない」という回答が多かったのです。
確かに明治初期の話ですから、知らなくても当然なのですが・・・
何件か声をかけていく内に徐々に光がさしてきます。

azuki 両河内の小豆について取材の結果分かった事は、当時小豆が黒いダイヤと騒がれていた頃は栽培をしていたそうなのですが、その後、小豆の値段が下がり商売として成り立たなくなった為、止めてしまったとの事でした。今、小豆はほとんどが北海道産であり、地元の方も北海道産を購入するそうです。昔の名残りから自分達が食べる分だけの小豆を栽培している方は今でもいらっしゃるそうです。小豆が追分羊かんに送られていたと言う事実を知る方は一人もいらっしゃいませんでした。

大内産の竹皮に関しても、面白い話を聞く事ができました。


sasa取材に向かった際、我々は竹林を目安としてその麓にある民家を訪ねたのですが当時、ここはミカン畑だったそうなのです。竹皮を求めた結果、辿りついたのがミカン栽培と言う結末に唖然としましたが、何件か話を聞いていく内に意外な事実が判明しました。ミカン畑を始めたのは昭和に入ってからの話でそれ以前はやはり竹林だったそうです。ミカンの栽培を始めるにあたりその辺一帯の竹林を整地し畑に変えたとの事でした。その後、ミカンも物価が下がり、商売として成り立たなくなった為、そのままほっておいたら再び竹が生え出し今の竹林へとなったのだそうです。ちなみに羊かんに竹皮を使うのであれば真竹を使っていただろうと教えてくれた地元の方もいらっしゃいました。


取材時、真竹の生える時期では無かった為、イメージカットは
淡竹の竹林を撮影したのですが、インサートは真竹をちゃんと使用しました。


youkan調べれば調べるほど、様々な事実が新たに生れてくる所に歴史の奥深さを感じました。第2回の放送は6月と、まだ先ではありますが、こうした下調べを念入りにしていると言う事で、お待ちいただければ幸いです。

それでは、第2回の取材裏話でお会いしましょう。